行政訴訟にはどんな種類があるのでしょうか?

行政訴訟にはいくつか種類があると聞きました。行政訴訟自体がどんなものかと、種類について教えて下さい。


国や行政を相手取った訴訟を「行政訴訟」と呼びますが、これには大きく分けて4つの種類があります。順番に見ていきましょう。

個人間のトラブル解決のために用いられる訴訟を「民事訴訟」といいます。
対して、国や行政といった公権力とのトラブルを解決する訴訟が「行政訴訟」です。

民事訴訟は民間同士の争いになりますが、行政訴訟には主に個人などの民間(行政処分を下される側)と行政(国や自治体など)の争いという特徴があります。
国により下された課徴金処分の取り消しを求めるケースなどが行政訴訟の具体例です。

行政訴訟は大きく「主観訴訟」と「客観訴訟」の2つの種類に分類できます。
2つの種類は、それぞれ2種類ずつの計4種類の類型に分けることが可能です。

行政訴訟の種類①「主観訴訟」とは

国や自治体などの行政処分によって、訴訟を提起する人が直接的に利害を受けるケースが「主観訴訟」です。
行政処分に対しての直接的な利害関係人が戦うための訴訟であると解釈すればわかりやすいかもしれません。
主観訴訟には2つの類型があります。
1つは「抗告訴訟」。
もう1つは「当事者訴訟」です。

抗告訴訟とは

抗告訴訟とは、行政の公権力の行使に対して不服がある場合に提起できる行政訴訟になります。

当事者訴訟とは

当事者訴訟とは、国や自治体と個人が当事者として対等な立場で争うタイプの行政訴訟です。
国や自治体などの行政は大きな力を持っており、訴訟の場においても行政としての力と立場があります。
当事者訴訟では、行政も一般人と同じ一人の当事者として扱われるのです。

行政訴訟の種類②「客観訴訟」とは

国や自治体などの行政処分と訴訟を提起する人が直接的な利害関係はないが、訴訟の提起は認められているケースを「客観訴訟」といいます。
客観訴訟の類型も2つです。
1つは「民衆訴訟」で、もう1つは「機関訴訟」になります。

民衆訴訟とは

民衆訴訟は客観訴訟なので、訴訟を提起する人に公権力の行使との直接的な利害関係はありません。
例外的に行政に訴訟を提起できるケースで行われるのが民衆訴訟になります。
行政が施設を建てようと建設している場合に「税金の無駄である」等を主張して訴訟を適した場合が、この民衆訴訟の代表例です。
民衆訴訟を申し立てた本人がお金を出すわけではないので、直接的な利害関係はないという点に注目してみてください。

機関訴訟とは

機関訴訟は、民間人と行政のトラブルという図式ではない点が特徴的です。
機関訴訟は行政に属する者同士のトラブルを解決するための行政訴訟類型になります。
行政と行政のトラブルなのです。
行政機関に所属している人同士のトラブルは、民間人には基本的に関係ありません。
利害関係もないはずです。
そのため、機関訴訟は客観訴訟に分類されています。



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