示談書のサインを強要されました。その示談書は有効なのでしょうか?

今回交通事故を起こし、相手方と示談の交渉をしていました。交渉中に相手の態度が豹変し、強い態度で脅しつけられ、示談書にサインするよう強要されました。
何をされるかわからない恐怖からサインをしてしまいましたが、あまりに不利な条件です。取り消すことはできますか。

示談書のサインを強要された場合、仮に合意をしたとしても示談書の合意を取り消すことができます。強要に当てはまる条件を確認しましょう。

示談書のサインを強要された場合、仮に合意をしたとしても示談書の合意を取り消すことができます。

これは、強要だけではなく、脅迫のケースでも同様に取り消すことが可能です。
そもそも示談というのは、当事者間の合意を指します。
たとえば、加害者が被害者に対して損害賠償の支払などの約束をし、逆に被害者は加害者に対して示談した以外の損害賠償を求めないというものです。
示談は、民法第695条の和解契約に広い意味では含まれるとされています。

今回のケースでは示談書のサインを強要されたとのことなので、民法第96条1項による強迫による意思表示が認められるかもしれません。
民法第96条1項によって、強迫による意思表示は取り消すことができます。

引用:e-Gov法令検索 -民法第96条1項

ただし、強迫による意思表示であると認められるには、以下の4つの要件に当てはまることがポイントです。
脅迫・強要があったことを証明しなければならないので、確認しておきましょう。


  1. 強迫行為があったこと
  2. 強迫行為によって畏怖したこと
  3. 畏怖によって意思表示を行なったこと
  4. 目的や手段が不法であること


たとえば、「示談書にサインをしないなら何らかの危害を加える」と言われ、その言葉に畏怖してサインをしてしまった場合が考えられます。
この何らかの危害は、本人への危害だけではなく、家族への危害も対象です。

また、「示談書にサインをするまでは帰らせない」という言葉に畏怖してサインをしてしまった場合も強迫による意思表示だと考えられます。

しかし、強迫による意思表示を主張するのであれば、強迫行為をされた証拠が必要です。
強迫による意思表示を主張するときに必要となる証拠には、強迫行為の録音や長時間の拘束を証明する記録などが挙げられます。
もしもあなたがこのような強要の証拠をお持ちなのであれば、示談書にサインをしてしまったとしても示談書の合意を取り消して無効なものとすることができるでしょう。

また、刑法第223条1項には、強要罪について定められています。強要罪とは、「生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対し外を加える旨を告知して脅迫」した者などに課せられる罪です。
脅迫を行なって人に義務のないことを行わせたなら、3年以下の懲役に処されます。

引用:e-Gov法令検索 -刑法第223条

したがって、示談書へのサインの強要は示談が取り消しになるだけではなく、強要した側に刑罰が与えられるかもしれないのです。
今回の相談者様のケースで示談が取り消しになるか、強要罪が認められるかは、詳しい事情をお聞きしなければ判断しかねます。ただ、訴え出ることをお望みであれば、適切な機関までご相談ください。


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